1. HOME
  2. コラム
  3. コラム
  4. 日経リスキリングアワード受賞企業に学ぶ、SDx時代の勝ち方

日経リスキリングアワード受賞企業に学ぶ、SDx時代の勝ち方

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
日経リスキリングアワード受賞企業に学ぶ、SDx時代の勝ち方

Q.SDVなどのSDxへ移行するためにシステムやソフトウェア開発へのリスキリングが必要ですが、どう進めればよいでしょうか?

A. 単なる知識習得のための教育機会の提供ではなく、実践的スキルを身につける教育が必要です。SDxに求められる上流工程の実践的eラーニング「Eureka Box」と仮想プロジェクトなどを組み合わせたリスキリング計画を立てましょう。

電動化が突き付けた二重の試練


自動車・二輪向けパワートレイン製品を手がける愛三工業株式会社様は、大きな岐路に立っていました。同社の電動システム開発本部・福森本部長が「2つの課題に直面していた」と語るように、避けられない変化が目の前に迫っていたのです。(前回の記事&対談動画はこちら

第1の課題は、自動車の電動化によるエンジン部品需要の先細りです。長年培ってきたエンジン部品中心の事業が、市場環境の変化により縮小していく。これは単なる需要減少ではなく、事業の根幹に関わる構造的変化でした。昨今は電気自動車の普及が踊り場にあることなどからエンジン需要の揺り戻しはあるものの、電動化は確実に進んでいくため対応が必要でした。

の課題は、求められる技術の変化です。電動化にあたってはメカに搭載するソフトウェアの開発が欠かせません。メカに強みを持つ同社にとって、電子技術とソフトウェア領域への進出は容易な選択ではありませんでした。

これらの課題に対して愛三工業様が下した決断は、事業モデルの変革とそれを担うソフトウェア人財へのリスキリングという戦略でした。「3年間で100名のソフトウェアエンジニアをリスキリングによって誕生させる」ー野心的な目標を掲げ、2022年から本格的な取り組みを開始します。

こちらの導入事例ではここまでの経緯をご紹介しています。そして2025年、同社の挑戦は一つの実を結びます。ソフトウェア開発案件の受注に成功しただけでなく、その取り組みが社外からも高く評価され、日経リスキリングアワード2025 審査委員特別賞を受賞したのです。

「日経リスキリングアワード2025」(外部サイト)

「なぜ愛三工業様のリスキリングは高く評価されているのか」「愛三工業の事例からどのような本質が学べるか」を本記事では紹介していきます。

愛三工業株式会社様が選択した「攻めのリスキリング」

具体的なリスキリングの話に入る前に、もう少し愛三工業様の挑戦の価値を深堀してみましょう。同社のリスキリングは、電動化という市場環境の変化をチャンスと捉え、ビジネスモデルの戦略的変革を前提とする「攻めのリスキリング」です。

愛三工業様(そして多くの製造業様)における従来のビジネスは、「モノを売って終わり」の1shotビジネスでした。製品を開発し、製造し、納品する。そこで取引は完結します。しかし福森本部長が目指したのは、SDx (Software-Defined Everything)による継続的な価値提供のビジネスモデルです。製品を納品した後も、ソフトウェアを通じて継続的に価値を届け続ける。この転換こそが、愛三工業のリスキリング戦略の真髄でした。

SDxの本質は、顧客に継続的な価値を届け続けることにあります。例えばスマートフォンのOSアップデートのようにソフトウェアを最新化し続けることで、顧客の満足度を高め、販売価格の向上につなげる。あるいは有償での機能追加やサブスクリプションでの機能提供により、1shotビジネスから脱却する。これらを実現するには、「作って終わり」のソフトウェア開発では不十分です。継続的な機能追加、定期的なアップデート、新たな機能の提案ーこれらを実行できる組織能力が求められます。

攻めのリスキリングを支えた3つの柱

愛三工業様は計画通り、将来のSDxビジネスを担う100人のソフトウェアエンジニアをリスキリングによって生み出しました。さらにソフトウェア開発の受託にも成功し、ビジネスモデルの変革において着実に成果を上げています。メカ製品の開発を生業としていた同社が、なぜわずか3年間で結果を出せたのか。そこには「教育戦略」「実践力強化」「出口戦略」という3つの柱がありました。

攻めのリスキリングを支えた3つの柱

教育戦略

まず「愛三工業株式会社におけるソフトウェアファーストとは何か」や「その中で求める人物像や必要なスキルは何か」の定義から始めました。SDxやソフトウェアファーストといった言葉の定義はもちろん世の中にありますが、それは個社の事情を踏まえていない解像度の低いものです。求める人物像やスキルも同様で、同社では業界標準であるETSS(Embedded Technology Skill Standards)を拡張し、自社の目指すソフトウェアファーストに合致する独自の基準を作成しています。戦略から落とし込まれたこの明確な目標設定が、リスキリングの方向を定め、成果を測定可能にする土台となりました。

実践力強化

2つ目の柱が「実践力強化」です。継続的に機能を追加できるアーキテクチャの設計力、新たな機能を提案しその要件を定義する力。これらを獲得するには単なる知識の習得では不十分です。自立的にソフトウェア開発を遂行できる実践力こそが重要ー福森本部長はこのように考え、「実践的スキル」が身につくeラーニングであるEureka Box (ユーリカボックス) などの基礎教育と、「実践力を磨く」仮想プロジェクトやOJTを効果的に組み合わせた育成計画を策定しました。

参考:愛三工業様テクニカルジャーナル2025
https://www.aisan-ind.co.jp/innovation/journal/2025/pdf/aisan-technical-journal2025_No8-ja_41-42.pdf

愛三工業様でのEureka Boxの詳細な導入事例はこちら
https://www.eureka-box.com/media/case/a46

出口戦略

最後の柱が「出口戦略」です。3年をかけて実践力を身につけても、それを発揮する場がなければ報われません。人財育成としても成功とは言えないでしょう。そこで福森本部長は育成期間と並行して、ソフトウェア開発案件の受注に向けて奔走し、見事受注に成功しました。その受託開発の上積みを礎にして、電動製品にソフトで付加価値を付けることを目指しています。どれだけ優れた戦略や計画を立てても、出口がなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。「出口戦略」は欠かすことのできない柱なのです。

SDx時代のリスキリングを成功に導くEureka Box

SDxと生成AIという2つの大きな波が、今ソフトウェア開発を大きく変えつつあります。ソフトウェア開発には実装やテストといった下流工程が欠かせませんが、そこは生成AIが得意とする領域。一方、SDxの価値を生み出すのは要件定義やアーキテクチャ設計といった上流工程です。上流工程に強みを持つeラーニングサービス「Eureka Box」は、愛三工業様のリスキリング成功事例を元に進化を続けています。

SDx時代のリスキリングを成功に導くEureka Box

① 上流工程と実践力が身につく他にない教育コンテンツ

SDxにおいては、「新たな価値を定義する要件定義」「ソフトウェアを進化させ続けやすいアーキテクチャ」など、開発上流工程の重要性が格段に高まります。Eureka Boxでは、自動車メーカーなど日本を代表する企業の開発現場で支援を続けるコンサルタントが作成した、SDxに欠かせない上流工程の超実践的コンテンツを豊富に取り揃えています。

② 教育戦略/計画の策定をサポート

今回の事例が示すように、リスキリングにおいては教育戦略・計画の策定が成功のカギを握ります。エクスモーションは同社の教育戦略策定段階から支援を行っており、そこで培ったノウハウに基づく教育戦略/計画の策定を、Eureka Boxのサポートサービスとして提供しています。

③ 学習後の実践もコンサルタントがサポート

上流工程の技術は、いざ実践しようとすると下流工程以上に壁にぶつかります。愛三工業様でのケースでも同様の問題が発生し、コンサルタントによる寄り添ったQ&A会を実施することで解決してきました。この経験などから実開発での実践時のサポートも欠かせないと考え、Eureka Boxではコンサルタントにオンラインで質問や相談できる「開発よろず相談」、AIに24時間いつでも質問できる「開発ナビAI」を提供しています。

日本の製造業が再び世界をリードするために

同社のリスキリングの成功は、日本の製造業全体に2つの重要な示唆を与えています。

1つは前述の通り、市場環境などの変化を新しい価値創出への「挑戦」として捉えるべきということです。同社は電動化という脅威を、SDxという新しい価値提供の機会に見事に転換しました。

もう1つは、SDxへの転換が日本の製造業が長年抱えてきた構造的矛盾の解消のチャンスになりうるということです。日本のモノづくりは、世界に誇る高品質を実現してきました。そして現在も、その品質は向上し続けています。自動車を例に取れば、1981年に8.7年だった平均使用年数が、2000年には9.96年、2025年には13.35年にまで延びています(※)。10年、20年と使い続けられる製品。故障知らずの信頼性。これらは本来、誇るべき成果であり、顧客にとっても社会にとっても価値あることです。

※ 出展:日本自動車工業会統計 https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

しかしビジネスの観点から見ると、ここに構造的利益相反が生じています。品質が向上すればするほど買い替え頻度は下がり、長期的には売上が伸び悩む。優れた技術と誠実なモノづくりが経営的には不利に働きうるという、日本の製造業が抱えるジレンマがあるのです。

SDxは、この構造的利益相反を根本から解決します。モノではなく価値を売るビジネスモデルへの転換により、継続的に価値を創出し続けることがそのまま売上に繋がる構造を実現できます。高品質な製品を基盤に、その上でソフトウェアやサービスを通じて価値を届け続けるー品質向上が売上減少ではなく、顧客との長期的な関係構築と継続的な価値提供に繋がるのです。

愛三工業様の挑戦は、日本の製造業が再び世界をリードするための1つのロールモデルです。我々エクスモーションはその挑戦を共に歩むパートナーとなるべく、Eureka Boxなどの人財育成支援サービスを通じてSDx時代に飛躍を目指す企業を全力で支援します。

Eureka Box(ユーリカボックス)
サービスに関するご相談は
こちらから
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加