パワエレ製品向けMBSE

パワエレの製品開発では電力・電子・制御など複数の技術ドメインに対する定量値や制約の扱いがシステム設計に大きな影響を与えます。また設計ノウハウが多く存在しており、その蓄積と活用、設計の再利用が製品実現性に対し重要な意味を持っています。これらの側面を取り扱うMBSEについて説明します。
1、パワエレ製品の技術ドメインの構成
パワエレ製品は電子・電力・制御という基幹的な技術ドメイン以外にも機械や熱などを含めた多くの技術分野の密な関係により構成されています。要求を満足する適切なシステムアーキテクチャを決定するには、各ドメインのエンジニアリング技術で扱える仕様内容を早期に確定し、全体の整合性と妥当性を確認する必要があります。そのためには技術ドメインのエンジニアが持つ様々な設計観点に対応するビューで構成されたシステムモデルの雛形が重要です。雛形のモデルを予め作成し、詳細をステークホルダと協議し確定させることで、早期のシステム検討が可能になります。
またパワエレ製品では定格電圧や効率など定量的な観点が多く存在し、その値の大小により製品価値と実現難易度が大きく変わります。それら物理量を、単位系を含めて適切に取り込み、各技術ドメインに受け渡すためにモデル化が必要です。
2、システムアーキテクチャの整合性と表現手法
複数の技術ドメインが関係するパワエレ製品のアーキテクチャ表現には工夫が必要です。論理アーキテクチャの割り当て先となる物理アーキテクチャでは、一般的な部品構成を示す構造図(ブロック定義図など)が必要ですが、それ以外にも電力や熱、電源などの技術ドメインの観点に対応した系統図(内部ブロック図など)が必要となります。例えば、右図に示すように、変換回路やパワーデバイス等の部品要素が、電力系統、冷却系統、電源系統などに関係する様に一つの要素が複数の系統図に現れます。アーキテクチャ検討時の部品変更に対する各系統図の一貫性を確保し、システムアーキテクチャ全体を齟齬なく取り扱うためには、コンポジションを用いた部品構成図と共に、集約(参照)による各技術ドメインの系統図を用いることが有用です。それによりシステムアーキテクチャ全体の整合性を適切に表現し適切な設計を進めることが可能になります。
3、設計ノウハウの資産化と設計の再利用
複数の技術ドメインで構成されるパワエレ製品の設計難易度は高く、その実現には多くのノウハウが必要であることが知られています。実際の設計では、過去の製品技術を基盤とし、今回の要求仕様に対する修正が製品に求められている目標を満足するかを評価することで、最終的なシステムアーキテクチャが決定されます。
そのようなパワエレ製品のシステム設計にMBSEを適用する場合、設計ノウハウのモデル化と資産化、またモデルベースの再利用設計法の導入が成功の鍵となります。
製品ノウハウのモデル化と資産化を進めるためには、ノウハウの適用先となる設計要素のモデル化とライブラリ化、そしてそれらの要素への制約条件のモデル化が必要となります。要素のモデル化・ライブラリ化では、要素が持つインタフェースを流れる物理量に対する規定を共通的かつ普遍的な枠組みにすることで、モデルの意味の適切性と要素間の接続性が高まり、資産化が促進されます。その要素資産に対して条件式として表現した制約を紐づけることで、システムモデルとして論理解析や物理シミュレーションが可能となり、設計内容の設計ノウハウへの適合性を評価することが出来ます。
この設計ノウハウを紐づけたシステムモデルは、次の開発におけるベースモデルとなります。このベースモデルを継承して次のモデルを定義し、変更部分の再定義により開発を行うことで設計モデルの再利用を進めることが可能です。また新たなノウハウの追加も可能であり、それが累積していくことでMBSEのモデルに設計ノウハウが蓄積され、組織としてのシステム設計力を強化することにつながります。
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「システムズエンジニアリングとは、システムを成功させるための、複数の専門分野にまたがるアプローチと手段のこと」と、よく言われます。パワエレ製品は関係する技術分野が多いこと、またノウハウに基づく設計や設計資産が多いことから、システムエンジニアリングやMBSE技術により大きな開発効果を期待出来る設計分野であると考えられますが、その適用事例があまり紹介されていない製品分野でもあります。
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