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物理アーキテクチャの作成

物理アーキテクチャの作成

前ページの図5で示した論理アーキテクチャに対して、非機能要求や制約に配慮した実際の「モノ」としての構成を物理アーキテクチャと呼びます。物理アーキテクチャの構築には、まずは下表のように、「車両盗難防止システム」の非機能要求を実現するために必要なアーキテクチャ制約を導出し、先に定義した論理アーキテクチャに対しこれを満たすような変更を施していくことになります。

非機能要求など、システムの制約を考慮したうえで、物理アーキテクチャを構築する【性能面/効率性】非機能要求:キー照合から500ms以内でエンジン始動およびユーサへの通知を完了すること、アーキテクチャ制約:キー照合から通知までは小同じCPUで処理【開発効率性/保守性】非機能要求:暗号プログラムを外部からバージョンアップできること、アーキテクチャ制約:暗号プログラムの格納方法【ビジネス面/調達有無】非機能要求:暗号化技術は外部の専門企業から調達、アーキテクチャ制約:暗号プログラムの分離【ビジネス面/仕向け】非機能要求:防犯警告は標準搭載、自動施錠・解錠とイモビライザーはオプション、アーキテクチャ制約:防犯警告と、自動施錠・解錠およびイモビライザーの分離

表のアーキテクチャ制約に対し、さまざまなトレードオフ分析を行い、全体最適な視点で決定した物理アーキテクチャが図6です。ここでは、ハードウェアとソフトウェアの区別、および、それらがどのように配置されるかを見て取ることができます。今回は、性能面およびビジネス面での制約から、盗難防止とボデーECUの2つのCPUに各構成要素となるブロックが分割配置されたことが分かります。

SysML内部ブロック図(IBD)で、非機能要求や制約を考慮した物理アーキテクチャを構成する|車両盗難防止システム物理モデルと物理要素間の関係(ブロック定義)車両盗難防止システム⇒(ブロック定義、ハードウェア)盗難防止⇒(ブロック定義、ハードウェア)キーセンサ、(ブロック定義、ソフトウェア)自動施錠・解錠、(ブロック定義、ソフトウェア)キー照合、(ブロック定義、ソフトウェア)イモビライザー、(ブロック定義、ソフトウェア)ユーザ通知|(ブロック定義)車両盗難防止システム⇒(ブロック定義、ハードウェア)ボデーECU⇒(ブロック定義、ソフトウェア)防犯警報⇒(ブロック定義、ソフトウェア)衝撃検知、(ブロック定義、ソフトウェア)警告、(ブロック定義、ソフトウェア)異常振動検知


さらに図7のように、各要素間のつながりや、やり取りされる情報などを表現できる内部ブロック図を活用することで、設計したアーキテクチャの妥当性をモデルを使って早い段階で検証することができます。このような手順を踏むことで、多様で大規模なシステムに対しても、トップダウンかつ全体最適なアーキテクチャを事前に検討することが可能になります。

SysML内部ブロック図(IBD)で、非機能要求や制約を考慮した物理アーキテクチャを構成する|車両盗難防止システム物理モデルと物理要素間の関係|RFアンテナ⇒RF信号入力⇒キーセンサー⇒キー照合⇒照合結果⇒自動施錠・解錠⇒ドア制御出力⇒ドア開閉⇒CAN⇒ドアロック/アンロック⇒CAN:ボデーECU⇒車両ID,HIMIっ情報⇒CAN⇒音情報⇒音・ユーザ通知⇒音通知情報⇒CAN⇒HIMI出力⇒CAN:メーター|キー照合⇒照合結果⇒イモビライザー⇒表示情報⇒表示・ユーザ通知⇒表示通知情報⇒CAN⇒HIMI出力⇒CAN:メーター|イモビライザー⇒エンジン始動制御出力⇒エンジン始動許可⇒CAN⇒エンジン始動許可⇒CAN:エンジンECU

システムアーキテクトを目指して

システムアーキテクチャは一度構築すればそれで終わりではなく、システムのライフサイクル全般に渡って維持していかなければなりません。また、複数のシステムに対して同じようにシステムアーキテクチャを定義していくことで、機能の統合や相互接続などの全体最適を実現するための検討が進むようになります。

システム開発を行う企業においては、システムアーキテクチャ設計を継続していくシステムアーキテクトの存在が不可欠です。また、システムアーキテクトにとっては、全体最適なシステムを設計することで企業の事業戦略を大きく推進する役割を果たせます。システムアーキテクトを目指し、真に役立つシステムアーキテクチャ設計を実現させましょう。

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